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2017.10.25

学ぶキレイ

色で魅せる!「オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代」

色で魅せる!「オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代」

オットー・ネーベルをご存知ですか? 名前を知らなくても、「この絵、見たことある!」という方が多いのでは?

左/オットー・ネーベル 《ナポリ》『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』より、1931年、インク、グアッシュ・紙、オットー・ネーベル財団
右/オットー・ネーベル 《ポンペイ》『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』より、1931年、インク、グアッシュ・紙、オットー・ネーベル財団
 

この『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』は、ネーベルがイタリアを訪れた際に制作した、各都市での色と形の探求の成果を美しくまとめた秀逸なスケッチブック。
ネーベルが1931年の3か月間にわたるイタリア滞在において「各都市の個性を色彩で表現しよう」と試みた実験のひとつです。彼は、風景の中のモチーフを四角い色面に置き換え、都市の景観を描きました。

 

その「まだよく知らないけれど見たことある」ネーベルの日本初の回顧展「オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代」が、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されています。ベルンのオットー・ネーベル財団の全面的な協力を得て、建築、演劇、音楽、抽象、近東など彼が手がけた作品を主要なテーマに沿って紹介。会場には、ネーベルがバウハウスで出会い、長きにわたり友情を育んだといわれるカンディンスキーやクレー、若き日に影響を受けたシャガールといった同時代の画家たちの作品も展示し、画家ネーベルの知られざる画業に迫ります。

 

オットー・ネーベル 《避難民》1935年、グアッシュ、インク・紙、オットー・ネーベル財団

オットー・ネーベル(1892-1973年)は、ベルリンに生まれ育ちました。建築を専門に学び、演劇学校に通うなど、美術以外の分野にも関心をもった彼は、のちに建築、演劇、詩作など多分野に活躍の場を広げていきます。
兵役中に、大胆なタッチと非現実的な鮮やかな色彩で動物を描いて人気を博したフランツ・マルクの作品に感銘を受けたネーベル。ですが、そのマルクは1916年に36歳の若さで戦死。マルクに捧げられた展覧会をベルリンで見たネーベルは画家になることを決意したといわれています。

 

ネーベルは、ナチスの弾圧を受けたパウル・クレー同様にスイスのベルンに移住し、制作活動を続けることに。結婚を機に滞在したバウハウスの校舎のあるワイマールで、パウル・クレーやワシリー・カンディンスキーと知遇を得て、彼らの作品から制作への多大なるインスピレーションを受けるとともに、生涯に渡る友情を育むことになります。
バウハウスとは、1919年にドイツのワイマールに設立された学校のこと。工芸や写真、デザインといった美術と、建築に関する総合的な教育が行われました。

 

オットー・ネーベル 《アスコーナ・ロンコ》1927年、水彩、グアッシュ・紙、厚紙に貼付、ベルン美術館 

この作品は、ドイツなどから移住してきた芸術家たちが集ったスイスのアスコーナで描かれました。ネーベル自身「子供の魂から生み出された」と語る色彩豊かな明るいこの作品に、マルクやシャガールからの影響が見られます。

 

オットー・ネーベル 《聖母の月とともに》1931年、グアッシュ・紙、ベルン美術館

左/オットー・ネーベル 《ムサルターヤの町 Ⅳ 景観B》1937年、グアッシュ・紙、ベルン美術館
右/オットー・ネーベル 《地中海から(南国)》1935年、水彩・紙、厚紙に貼付、オットー・ネーベル財団

この「都市の建築シリーズ」は、建築を学んだネーベルならではの試み。都市の建築物の構成の輪郭を単純化された立方体や結晶体の形にあてはめ、色彩のコントラストによって捉え描かれました。

 

左/オットー・ネーベル 《コン・テネレッツァ(優しく)》1939年、テンペラ・紙、オットー・ネーベル財団
右/オットー・ネーベル 《ドッピオ・モヴィメント(二倍の速さで)》1936年、ラッカー塗料・紙、オットー・ネーベル財団

こちらは、後半生に移住したスイスで描いた作品。敬愛するカンディンスキーと同じように、現実を再現するのではない抽象絵画を描こうとしたネーベルは、作品のタイトルにも音楽用語を使用し、音楽を感じさせる絵画を目指していきます。ネーベルは自らの挑戦を、オーケストラの指揮者になぞらえていたとか。

 

左/オットー・ネーベル 《輝く黄色の出来事》1937年、油彩・キャンヴァス、オットー・ネーベル財団
右/オットー・ネーベル 《叙情的な答え》1940年、テンペラ・紙、オットー・ネーベル財団

色と形だけで自立した絵画を目指したネーベルの作品は1933年にドイツを離れるとさらに開花していきます。1936年~51年までの間、カンディンスキーの尽力で、ニューヨークのグッケンハイム財団が作品を購入し、ネーベルの芸術活動を支援しました。

様々な実験的絵画に挑んだネーベルの軌跡を展開する今展。「まだよく知らない」という方も、その色彩豊かな作品の世界観をぜひご覧になってみては?

 

「オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代」
会期:2017/10/7(土)~12/17(日)
   *11/14(火)のみ休館
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
     毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
   東京都渋谷区道玄坂2-24-1
入場料:一般1500円ほか
お問い合わせ: ハローダイヤル 03-5777-8600

※2018年4月28日(土)~6月24日(日) 京都文化博物館で開催
In cooperation with Otto Nebel Foundation, Bern

 

■詳しくはこちら
「オットー・ネーベル展」
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/

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