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2017.03.08

出かける学ぶ

ミュシャの傑作『スラヴ叙事詩』日本初公開

ミュシャの傑作『スラヴ叙事詩』日本初公開

素晴らしい展覧会が続々開催されている2017年。本日3月8日からは、チェコ国外では世界初公開となる幻の傑作『スラブ叙事詩』全20作が話題となっている「ミュシャ展」が国立新美術館で開催となります。

『スラヴ叙事詩』とは、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家の一人であるミュシャ(アルフォンス・ミュシャ1860-1939)によって描かれた、およそ縦6メートル、横8メートルにもおよぶ巨大なカンヴァスに描かれた20点の油彩画で構成された作品です。
どこにも隠しようがないようなこの大きな作品が、なぜ幻の傑作といわれるのか? 
ミュシャと『スラヴ叙事詩』が創作された経緯を追って説明すると、、、

ミュシャが生まれたのはオーストリア領モラヴィア(現在のチェコ)。27歳でパリに渡り絵画を学びますが、その才能はなかなか発揮されませんでした。そんな彼に転機が訪れたのは、34歳のとき。ミュシャの描いた女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターが大評判となり、一夜にして成功をおさめます。以降、優美で装飾的な作風が多くの人を魅了し、女性の美の極致を描いた作品を多く手がけました。
ですが、当時のチェコはオーストリア=ハンガリー帝国の一部であることに抵抗する汎スラヴ主義運動が盛んな時期。故郷を愛し、人道主義者でもあったミュシャは、チェコ独立までの自由と独立を求める闘いの中、スラヴ諸国の国民をひとつにするため、壮大な絵画の連作『スラヴ叙事詩』の創作に取り組むことに。また、1900年のパリ万国博覧会手掛けた絵画作品の取材でバルカン半島を訪れたこと、スメタナの「わが祖国」を聴き感銘をうけたことも、この作品を描くきっかけになったと言われています。
この大作の完成までに費やした歳月は約16年。ミュシャは舞台となる地を実際に訪れて取材し、古い文献や記録資料も丹念に調べて、チェコとスラヴ民族の歴史を主題とした作品を描きあげました。

《スラヴ叙事詩「スラヴ式典礼の導入」》 1912年 610×810cm  
プラハ市立美術館 ©Prague City Gallery 

《スラヴ叙事詩「東ローマ皇帝として戴冠するセルビア皇帝ステファン・ドゥシャン」》 
1923年 405×480cm  プラハ市立美術館 ©Prague City Gallery

故郷であるチェコ、自身のルーツであるスラヴ民族のアイデンティティーをテーマにした作品を数多く残した彼の、集大成ともいえる傑作がついに完成!1928年にチェコスロヴァキア独立10周年を祝して、ヴェレトゥルジュニー宮殿で公開されます。ですが、その評価は芳しくなく、保守的な伝統主義の産物という扱いをうけることに…。 

《スラヴ叙事詩》を制作するアルフォンス・ミュシャ、ズビロフ城アトリエにて、1923年

悲運はさらに続きます。もともと、『スラヴ叙事詩』は美術館に常設展示することを条件にプラハ市に寄贈することになっていたのですが、経済危機や複雑な政治状況により展示のための美術館が建設されるはありませんでした。そのため、ミュシャの没後、第二次世界大戦が終結すると、『スラヴ叙事詩』は彼の生まれ故郷近くのクルムロフ城に寄託され、ほとんど人の目に触れることなく時が経過、幻の傑作といわれるようになったのです。

その後、およそ80年もの年月を経た2012年5月、『スラヴ叙事詩』は現在展示されているプラハのヴェレトゥルジュニー宮殿に戻され、再評価されます。
こういった経緯もあって、チェコ国外でこの作品が公開されるのは、今展が初めて。日本初公開どころか、チェコ国外では世界初公開! 

ところで、これほどの大作を描いたミュシャが世に出るきっかけとなったのが、舞台用のポスターというのは意外な気がしますが、実はミュシャはいわゆる絵画以外の作品を多く手掛けたことでも知られています。装飾品や、1910年に建築された市民会館の「市長の間」ステンドグラスの装飾パネルや織物のカーテン。1918年のチェコスロヴァキア建国の際には郵便切手や紙幣。白獅子の国章、聖ヴィート大聖堂のステンドグラス(1930年)も、ミュシャのデザインによるものです。

サラ・ベルナールのためにデザイン、この時代の至宝とされた《蛇のブレスレットと指輪》。

《蛇のブレスレットと指輪》 1899年 堺市

天国の情景や天国を遠くに望みながら集まる人々の姿や、それに影を落とすように羽根を広げ飛翔する鷲の姿が描かれた「市長の間」円系の天井。

《スラヴの連帯》 1910-11年 プラハ市立美術館

「ミュシャ展」は『スラヴ叙事詩』の全貌を一挙公開するのはもちろん、ミュシャがこの幻の傑作を描くに至るまでの足跡を80点、計100点の作品を通じて辿るもの。開催は6月5日までなので、この機会をお見逃しなく!

 

国立新美術館開館10周年・チェコ文化年事業 ミュシャ展
会期:2017年3月8日(水)〜6月5日(月)
   休館 毎週火曜日(ただし、5月2日(火)は開館)
   午前10時―午後6時 
   ※毎週金曜日、4月29日(土)〜5月7日(日)は午後8時まで
   ※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室2E (東京都港区六本木7-22-2)
入場料:一般1600円ほか
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

 

■詳しくはこちら
ミュシャ展
http://www.mucha2017.jp/

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