• vivi
  • with
  • voce
  • frau
  • mi-mollet
  • 会員登録・特典

人気の記事から

2017.11.14

学ぶ健康

【親の認知症】やる気がない、暴力、妄想…どうしたらいい?

【親の認知症】やる気がない、暴力、妄想…どうしたらいい?

先生教えて!
親の認知症、 どうするべきか、悩んでいます

親が認知症になると、昔とは違う言動や行動に戸惑い、傷ついてしまうことも。でも、受け止め方や対応を変えることで、親との関係性を改善できる例もあります。専門医のアドバイスを紹介しましょう。

 

お悩み1.母の様子がおかしい、認知症?

久しぶりに実家に帰ったのですが、母が最近、物忘れが多くなったと嘆きます。ひょっとして認知症かな?と心配です。

A.早く気づいてあげることも必要です
認知症は治療法のない病気。しかし早期に発見すれば、進行を遅らせる薬を使うことや先の生活の準備もできる。自分自身または家族から見て、違和感が高まり不安が伴うようなら、医療機関を受診してください(木之下さん)。

 

お悩み2.少しでも進行を食い止めたいのですが、何もやる気がない父。どうしたらいい?

軽度認知症の父に、記憶テストを勧めたり、散歩に連れ出したりしています。でも、「頑張ろうね」と言うと、「いじめるな!」と機嫌が悪くなります。 

A.やりたくないことをあなたはやりたいですか?
認知症になると「進行させないこと」を優先しがち。でも、例えば温泉に行くのは行きたい人と行くから楽しいのに、温泉に行く練習ばかりやらされて、いちいちできないことを指摘される。機嫌が悪くなるのは、自分を理解してもらえていないことに対する" 抵抗"だろうなあと、僕は思います。認知症の人同士で集まると、仲よく話をしてますよ。『娘が脳トレをやれとうるさい』なんて言いながら、当事者同士だから話が合う。大事なことは関係性なんです。親のことを思うなら、本人が本当に好きなことをやったほうがいい。関係性を深めて仲良く暮らしたほうが、よっぽど幸せだと思いますよ(木之下さん)。

 

お悩み3.物を投げたり、暴言を吐いたりします。怒ってもやめません

数年前から物忘れが始まった母。最近は、家族を叩いたり、物を投げるなどの行為も。せめて暴力だけでもやめさせたいのですが。 

A.行動には理由がある。本人なりの苦痛があるのかもしれない
現実には、家族と話しておとなしくなる薬を「飲ませる」という治療の選択をすることもあります。でも、認知症の人の暴力や暴言は、病状ではなくてリアクションだと、僕は考えます。食べたくないものを食べさせられたり、お風呂に入りたくないのに服を脱がされたり。それを嫌だと上手く伝えられなかったら、払いのけたり暴言を吐くこともあり得ると思うのです。生きる支えは、人との関係性から生まれるもの。近しい人が優しくしてくれたら救われます。暴言やいらだちの原因はどこにあるのか、本当にしてほしいことは何かを考えて接することも必要ですね(木之下さん)。

 

お悩み4.盗られ妄想"がひどくなる母、同居がつらいです

認知症の母が「お金を盗られた」「化粧品がなくなった」と騒ぎます。違うと言っても聞きません。どうしたら止められますか? 

A.一番つらいのは本人。記憶することが苦手になったと理解しよう
認知症の人は、昔の記憶を鮮明に持っているし、引き出すこともできます。だけど新たに記憶すること、つまり脳に情報を「入れる」ことが苦手になっている。物忘れと言われる症状も、記憶しづらいだけで、忘れているわけではないのです。盗られ妄想の背景には、「自分は老いてきている」とか、「お金を失くしたらどうしよう」といった不安があるもの。家族が叱ったり、詰問したりすれば、追いつめられ、自尊心も深く傷つきます。本人の悩みをまわりが少しでも理解できると、行動や心理状態が軽減することも多いのです。自分の事実とは違っても相手の事実に目を向け、聴く耳を持つことです(木之下さん)。

 

私は認知症をこう考えます

自分がなったら……と一度真剣に考えてみよう 
年をとって白髪が増え、シワができても、みんな、それなりに受け入れて生きている。でも脳の問題となった瞬間、「ほら忘れた」「さっき言ったでしょう」と指摘し始めます。毎日「そのシワをどうにかしろ」と言われるような状況が生まれているわけです。これって、つらいと思いませんか?
だから、認知症への、いまあるありきたりな偏った考え方はよくない。認知症になろうがなるまいが、人は人です。たとえ言葉が出てこなくても、そのせいで人として何かが損なわれるわけではない。
人は多かれ少なかれ、誰かに迷惑をかけて生きている。お互い様。本当に心配すべきは、認知症になったら何もできないと決めつけられ、人生を奪われることです。
50 代のみなさんが今できることは、人との関係性を濃くする技術を身につけること。悪口を言ったりケンカしたりする暇があったら、周囲と仲良くしてください。人とのいい関係は、生きる支えになります。よい人間性を持ち続けて死ねたらいいと僕は思うのです。

 

“認知症になっても終わりじゃない。

あきらめなくていい世の中にしたい”

 

■Profile
認知症の専門医 木之下徹さん
認知症の人の在宅医療に15年携わった後、認知症外来「のぞみメモリークリニック」を開院。認知症に対する偏見と日々向き合いながら、認知症の人やその家族に親身に寄り添う外来診療に尽力している。

 

50代の「認知症」入門シリーズ 

■ 認知症になりたくない!専門医からのアドバイス
■ 専門医が回答!どうして認知症になるの?
■ 認知症になりやすい体質・生活習慣とは?
■ この症状って認知症?! 物忘れと認知症の違い
■ その認知症予防法、ストレスになっていませんか?
■ 毎日を見直そう!認知症を予防する5つのポイント
■ 【親の認知症】やる気がない、暴力、妄想…どうしたらいい?

 

 

『おとなスタイル』Vol.8 2017夏号より
取材・文/及川夕子 構成/伊藤まなび イラスト/添田あき

FOLLOW US

著者プロフィール

COPYRIGHT(C)2013 KODANSHA LTD. ALL RIGHTS RESERVED.