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2017.09.11

学ぶ

「好きを仕事に」競輪選手 高松美代子さん

「好きを仕事に」競輪選手 高松美代子さん

寿命100歳時代を迎えつつある今、50代はまだ人生の半分。
ストレスフルで忙しい日々の中で、折り返しから先の長い道のりを心身ともに健康で幸せに、過ごしていきたいと思ったら、いったいどんな風に生きればいい?
50、60、70歳になっても何かを始める。
〜しなくちゃいけない、という束縛から解放される。
自分も気づかなかった才能を、掘り起こす……。
そんな、おとなならではの一歩進んだ「自由」「楽しい」の見つけ方を、様々な立場の方を訪ね、考えてみました。
今回ご紹介するのは、小学校教師から競輪選手になった高松美代子さんです。

 

歳を重ねてこそ、ストイックに夢に打ち込める

プロを目指したわけじゃなく
自転車で、ただ強くなりたかった
 

30代でトライアスロンにハマった高松美代子さんが、その中で特に自転車にのめり込んでいった理由は「勝てそうだったから」。自転車ロードレース単独の大会はマラソンなどと異なって女子の選手登録が少なく、実際何度も上位入賞を果たした―のだが、優勝までがなかなかたどり着けない。
「20~30kmを走るロードレースの勝負どころ、最後の200mくらいのスプリントで負けてしまうんです。勝つための練習法を探すうち、川崎競輪場のバンク(競走路)を走る愛好会のことを知りました。初めて参加させてもらったときは若い男の子だらけで、“おばさん、何しに来たの?”みたいな感じ。うわあ、どうしよう、と思ったけれど(笑)、ここで負けてはいられないと練習に参加するうち、大会で優勝できるようになって」
でも少し気を抜けば10代20代に負けるという危機感はぬぐえない。ちょうどそのころ、48年ぶりに女子競輪を復活させるために、日本競輪学校が女子の受験者を募集しているというニュースを聞く。年齢制限はなかった。
「当時は午前中は仕事をして、午後を家事と自転車の練習にあてていましたが、競輪学校に入れば自転車どっぷりの生活を送れる。子育ても介護も一段落したし、地方のレースに参加しながら旅行三昧の生活もいいな、とも思いましたが、それは5年10年先でもできる。でも競輪学校は49歳の今を逃せば行けないかもしれない、と。入学してからは“プロになるんだ”と言われ、そうなんだと思ったのですが、当時はただ強くなりたい、それだけでしたね」

 

自転車は組み立てからメンテナンスまですべて選手自身で行う。

 

出産も子育ても終わった年齢だから迷わなかった 

だが競輪学校は、携帯電話も持ち込めない1年間の合宿生活。家族の同意を得るには相当な苦労が……と思いきや、意外にすんなりとクリアできたらしい。
「子どもたちは20歳を過ぎて、もう独立や結婚をしていい年齢。だからここは“タダで花嫁修業ができるいい機会だから”と、家庭のことはすべて任せることにしました。娘は“反対しても行くんでしょ”という感じでしたが、作った料理の写真を“お母さんの教え通り、食材は5色使いました”という手紙つきで宿舎に送ってくれたりしました。夫は、私が4人の父母を介護し看取ったのをずっと見ていたので、苦労をわかってくれていたんだと思います。切り出したら、“ふーん、いいんじゃない?”という感じで。
もともと私がいなくても自分で何でもできる人だったので……妻のしつけがよかったんでしょうね(笑)」

 

出場全レースの戦況を細かく記録したノート。表紙には娘さんのイラストが。

 

この4月に家庭の事情で引退を表明したが、約5年間の現役時代、年齢による体力的限界はさほど感じなかった。精神的にはむしろこの年齢だからこそ楽しめたと感じている。
「若い女子選手には、結婚や出産・子育てと、現役生活との選択で迷っている子がたくさんいます。私はすべてを終えていたからこそ、競技にのめり込むことができた。引退した今も、やりたいことはまだまだいっぱいあります。手始めはガールズケイリンのサポートスタッフとして競輪界を盛り上げてゆくこと。プロになるほどのめり込めないから……とやりたいことを最初から諦めてしまうのはもったいない。
今年の初めに夫が急に他界したのもあって、特に思うんです。いつどうなるかわからないから、好きなことは今楽しむ。子どもたちも、やりたいことはやったほうがいい! って、言ってくれていますしね」

 

好きを仕事にするための3箇条 

【1】 思い切って、家事を誰かに任せる

【2】“おばさんがなぜ”と思われることに慣れる

【3】年齢のせいでできない、と思わない

 

■Profile
高松美代子さん
たかまつみよこ/1962年、大阪生まれ。小学校講師として働く傍ら、40代になって始めた自転車のアマチュア大会において数多くのタイトルを獲得。2011年に49歳で日本競輪学校に入学、翌年に日本競輪選手会神奈川支部所属の選手として登録し、プロ選手として活躍。今年4月に現役を引退した。

 

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『おとなスタイル』Vol.8 2017夏号より
撮影/古谷勝 取材・文/渥美志保 構成/菅野知子

著者プロフィール

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