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2017.04.21

学ぶ健康

ツラい更年期症状を乗り越えるHRTとは?

ツラい更年期症状を乗り越えるHRTとは?

一般女性の間ではまだまだ普及率が上がらないHRT(ホルモン補充療法)。でも、女医たちは、HRTを積極的に使い、一生使い続けたいと話します。それは、なぜなのか。HRTのメリットに、注目してみました。

エストロゲンは内なるエネルギー
HRTは更年期以降のメリットも大きい

HRTは不足した女性ホルモンを補う治療法。更年期の治療には漢方やサプリメントもありますが、女性ホルモンそのものを増やすのはHRTだけです。
更年期に起こる心身の不調は、卵巣からのホルモン分泌が急激に低下することが原因。ゆえに、もともとあった女性ホルモンを補うことで総合的によくなりやすいというメリットがあります。
さらにプラスαのメリットとして、将来の動脈硬化や骨粗鬆症、認知症などの病気を予防する効果も期待。
「女性ホルモンのエストロゲンはそもそも子を育むための、内なるエネルギー。その受容体は全身にあって、血管を守り、骨量を維持し、悪玉コレステロールを減らし、皮膚のコラーゲン量を維持するなど美容面にも貢献しています。女性のご機嫌度を上げるパワーもあって、HRTを使うと意欲が戻る人も。QOL(生活の質)向上に役立ちます」(対馬ルリ子さん)

始める時期は閉経前後が一般的ですが、症状によっては閉経前からも使えます。
「ホルモン剤の組み合わせ方や投与期間は、その人の希望や相性によって変えられます。必ず自分に合ったやり方や量がありますから、主治医によく相談して、自分で納得して選ぶこと。HRTを安全に、快適に続けるには、からだの状態をきちんと見ながら、何回でもHRTを調節してくれるドクターを選ぶことも大切ですね」(対馬さん)

 

治療薬は大きく分けて3種類

①貼り薬
②塗り薬
③飲み薬

子宮のある人は、子宮体がん予防のためにエストロゲンと黄体ホルモンを併用する場合が多い。エストロゲン製剤は飲み薬(錠剤)のほか、胃腸や肝臓への負担が少ない皮膚に貼るシールタイプや、塗るジェルタイプなどがあり、黄体ホルモンは錠剤がある。

 

HRTの投与法は大きく分けて3パターン

子宮がない場合:エストロゲン単独投与法
手術で子宮を摘出した場合や短期間の場合は、エストロゲンのみを持続投与。

子宮がある場合:周期的投与法
閉経前後の人に向く。エストロゲンを毎日服用し、10~12日間は黄体ホルモンを併用。休薬期間には出血がある。エストロゲンを連続で使う場合と休薬する2パターン。

子宮があり、月経様の出血を望まない場合:持続併用投与法
閉経後5年以上の人に向く。エストロゲンと黄体ホルモンを毎日併用。最初は不定期に出血があるが、6ヵ月後くらいからは徐々になくなっていく。

 

HRTの有用性の評価

A+=有用性が極めて高い/A=有用性が高い/B=有用性がある/C=有用性の根拠に乏しい/D=有用ではない

症状/有用性
● 血管運動神経症状/A+
● 更年期の抑うつ症状/A
● それ以外の更年期症状/B
● アルツハイマー病の予防/B
● 尿失禁の治療/C
● 萎縮性腟炎・性交痛の治療/A+
● 骨粗鬆症予防/A+
● 骨粗鬆症治療/A+
● 脂質異常症の治療/A
● 動脈硬化症の予防/B
● 皮膚萎縮の予防/A
● 口腔の不快症状/B

※ホットフラッシュ(血管運動神経症状)や骨粗鬆症対策には極めて有効。肌への効果もA評価。 参考文献:『ホルモン補充療法ガイドライン2012年度版』より

ホルモン補充療法が適さない場合もあるので事前の確認が必要。
重度の肝障害がある、乳がん治療中、または既往、子宮体がんの治療中、ほかのがんの治療中、原因不明の不正性器出血があるとき、妊娠が疑われるとき、血栓症・塞栓症と診断、または治療中、心筋梗塞、動脈硬化症の既往、脳卒中の既往など ※『ホルモン補充療法ガイドライン2012 年度版』より改変引用

 

■Profile
対馬ルリ子さん
女性ライフクリニック銀座 院長 産婦人科医師 医学博士
専門は周産期学、ウィメンズヘルス。診療のほか、女性の生涯にわたる健康のために全国の女性医師や医療従事者と連携し、情報提供や啓発活動を行う。

 

 

『おとなスタイル』Vol.6 2017冬号より
監修/対馬ルリ子 イラスト/村田善子 取材・文/及川夕子 構成/伊藤まなび

著者プロフィール

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