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本誌

2017.04.17

学ぶ

ドミニック・ローホーさんから6つの助言

ドミニック・ローホーさんから6つの助言

ものをたくさん持っていると、ものに自分が縛られることになって疲れてしまう。
「人も、ものと同じです。“たくさん”は必要ありません」
「煩わしい義理だけの付き合いを『断る』。
エネルギーが奪われるだけの友達からの誘いを『断る』。
『NO』を言えるおとなこそ、自由で魅力的なんです」
世界中にファンを持つ、フランス人著述家で人気ミニマリストのドミニック・ローホーさんは語った。
ドミニック・ローホーさんから、魅力的な“ひとりの人”になるための「孤独な時間」の味わい方について6つのアドバイスをご紹介します。

 

一、自分のミニルールを作る

毎日をどう過ごすか、自分のだいたいのスケジュール、つまりミニルールを決めることが先決です。
私の場合は、午前中は“体”の時間。
5時頃に起きて、メールの返事を書いたり、掃除、洗濯をしたり。銀行に行く、日用品を買いに行く……。
体を動かして、その日にやらなければいけないことを、午前中にすべてやってしまいます。
午後は〝頭?の時間。本を読んだり、カフェでゆっくり考えてメモをとったり、昼寝をして頭を休めたり、ひとりで散策をしたりして過ごします。
夜は“休息”の時間。頭と体の休息です。簡単な食事を作って食べ、映画を観たり、蝋燭の灯りだけにしてお酒を楽しんだり。そして早くに、9時頃に布団の中に入ります。
こんなふうに自分のルーティンが決まっていると、人にも「NO」が言いやすいのです。「私は午後はひとりで過ごすことに決めている」と、自分の中にルールがあれば、それを破ってまで話したい・会いたい相手かどうか量ることができます。

 

二、ラストオーダーメールを決める

「断る」ためには、時間の“期限”を作るといいです。メールを見たり、返信する時間も限定しましょう。
フランス人の私の友人に、月曜日にしかメールを見ないと決めている人がいます。まわりがそのことを知っているので、彼女からはすぐに返事が来なくても平気。みんな、月曜日まで待つのです。
週に一度というわけにはいかないかもしれませんが、朝だけメールボックスを開く、とか。夜の9時以降はメールのやりとりをしないと決めるとか。「私は8時30分がラストオーダーメールです」と、周囲に公言しておくのもいいアイデアです。
逆のことにも気をつけてください。すぐにメールの返事が来ないことにモヤモヤしたり、人からメールが来ないことを寂しく感じてはダメ。「メールが来ない。ラッキー!」、そう思えるようになりましょう。

 

三、自分の時間を守りましょう

「来月、京都へ遊びに行くけれど、会える?」と友達から連絡が来たら、私はこう答えます。「いるかいないかわからないの。こちらに来たら電話をください。そのとき私が京都にいたら、一緒にお茶を飲みましょう」
あらかじめ約束をして、未来の“自分の時間”を人にあげる必要があるでしょうか。「京都にいるんだけど」と相手から電話がかかってきたときに初めて、自分の気分や体調や状況で、会う・会わないを決めればいい。
そのときに「ちょっと仕事があるから」と小さな嘘をつくのもOK。ちなみに“仕事”は、日本人にとって魔法の言葉で、この2文字で許されることはとても多いです。
もうひとつ、とても大事なことがあります。自分がいつ・どこで・何をしているか、をあまり人に教えないこと。誰それと食事に行ってこんなものを食べたとか、今度の週末はフリーマーケットに行くとか、みなさん、自分のことを喋ったり、自慢したいようですが……。「私も一緒に行く」「今度、その店へ連れていって」と人から誘われる種を蒔いているようなものです。
“みんな”で遊ぶ習慣から離れて、ひとりで静かに過ごす時間を大切にしましょう。京都へ来たら、紫野大徳寺の龍源院をひとりで訪れてみてください。ここには東滴壺という、私の大好きな庭があります。日本で一番小さな石庭です。
一滴の水が落ちることで、まわりに波紋が広がり、それが流れとなって川や大海へとつながっていく様子が、石で表現されています。ひとりでそれを見つめていると、自分の心の小さな動きが、その一滴の水である、と肌で感じられるのです。

 

四、ドアを少し、開けておく

あまり気の乗らない誘いを「断る」ことができたとき。それでも「やっぱり行けばよかったかな」と迷う気持ちが起きることもあります。
だから、ドアをちょっとだけ開けておくんです。「私は行きません」とピシャリとドアを閉めてしまうのではなく、「今のところは行けないんですけど、もし行けそうになったら、前の日に電話してもいい?」と。
そうして、もしあなたが行けば、「わぁ、来られたのね」といっそう喜ばれることにもなります。 

 

五、5000円のランチをひとりで味わう

孤独=おとなになること。孤独を味わうためにはレッスンが必要です。知らない人に話しかけてみるのもそうですし、ひとりで贅沢なランチをするのも、ひとつのレッスンです。
私も経験があります。懐石料理の5000円のランチをひとりで食べに行きました。丁寧な仕事がなされた、美しくて澄んだ味わいのお料理を、目と舌と心でじっくりと味わって、ときおり坪庭の景色を眺める……。ひとりで高級料亭の個室にいることは、最初は勇気がいりましたが、結果として、すごく楽しいひとときで、印象に残る時間でした。
1回だけでよいのです。5000円を自分に投資して、孤独のランチを経験してみてください。 

 

六、愛情の物乞いにならないために

女性ひとり、レストランで食事するのを、「ひとりでかわいそう」と思いますか? 私は逆です。「うらやましい、素敵だな」と感じます。
ひとりで優雅に食事をするおばあさんの姿は、パリのレストランでしばしば見かけます。先日は和歌山のホテルのレストランで、とてもかっこいい女性と出会いました。
「おぉ、素敵な指輪ですね」
と声をかけたら、そこから会話が始まって。
彼女はいつも、旦那さんとこのホテルに来てゴルフをしていたのだとか。彼が亡くなった今は、彼女がひとりでそのホテルへ来て、ゴルフと食事を楽しんでいるのだそうです。

夫、恋人、子供、親……自分にとって大事な人が亡くなったときのことを、想像したことがありますか? 
これは禅の大事なレッスンでもあります。最悪のことも、イメージしておくのです。大好きな人が亡くなって、ひとりになったときに家に引きこもりにならないように、自分は本当に何が好きなのか、何をしたいのか、じっくり考えて準備をしておかなければいけない。

孤独はとても大事、大事、大事、大事。人の基本は孤独です。それを直視せずに、「あなたがいないと私は死にそうに寂しい」と訴えて、人の愛をあてにする“愛情の物乞い”になるのは、とても危ないこと。その人を失ったら、自分がもぬけの殻になってしまう。
孤独が恐いから、みなさんは無理に友達に会う時間を作る。
でも、そもそも100年前のフランスでは、一般の人には“友達”という存在がいませんでした。家族、仕事関係、近所の人しかいなかった。それは、遊ぶ時間などなかったから。
確かに友達は大事です。でも孤独を知らないと、相手の本当の価値は見えてこないのです。
住まいと同じで、脳の中にも空間を作ることが大事です。ものがぎっしりの家で暮らすよりも、限りなく少ないもので暮らしたほうが、迷いが少なく、自分にとって本当に大事なものが見えやすくなる。

人も、ものと同じです。厳選しなければ。センスや知性や優しさのレベルが、自分と合わない人とは付き合わない。本当に会いたい人としか、もう会わない。これができるようになれば、素敵なおとなになれます。

だらだらとなんとなく大勢の人とつながる習慣を断ち切りましょう。

 

50代ともなれば、魅力的な

“ひとりの人”になるべく孤独な時間を味わうべきなのです。

 

 

■Profile
ドミニック・ローホー
著述家。フランスに生まれ、ソルボンヌ大学で修士号を取得。イギリス、アメリカ、日本の大学で教鞭をとる。禅の修行などを通して日本の精神文化への理解を深め、シンプルな暮らしを提案。『シンプルに生きる』(幻冬舎)、『シンプルだから、贅沢』(講談社)など累計250万部のベストセラーを持つ。

『「限りなく少なく」豊かに生きる』ドミニック・ローホー 著、原 秋子 訳(講談社 ¥1200)

 

 

『おとなスタイル』Vol.6 2017冬号より
撮影/大河内禎 取材・文/白江亜古

著者プロフィール

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